●天彦どのの手裏剣でござるニンニン
39手目、先手が8二玉と指した場面での勝又六段がひとこと。
「隙あらばアナグマ!」
現代将棋では隙があれば穴熊に玉を囲う。プロ棋士たるもの、この穴熊に対して策がないと生き残れないんだそうな。厳しいですなぁ。
将棋猫は相手がクマになって穴にたてこもったら、ひっぱりだせる気がまるでしないですし、実際ひっぱりだせません。
48手目、後手9三桂での勝又六段のひとこと。
「現代将棋は裏跳ねが基本!」
どうして裏跳ねが基本なのか? そもそも裏跳ねってなんなのか?
根本がわかってないけど、なんかカッコいいフレーズなので覚えておこうと思う。
53手目、先手3四歩での矢内女流四段のひとこと。
「手裏剣が飛んできました」
実はこれも意味のわからない将棋慣用句のひとつだった。
↓手裏剣を飛ばす
( -_-)ノ −−−===≡≡≡ 卍 シュッ!
上図のイメージからして、角とか桂馬とかナナメに動く駒を素早くなんとかすることかなぁと思ってた。
念のため調べてみたら、全然違ってた。
『手裏剣とは敵の陣形を乱すために打ち捨てる歩のこと。
歩を打ち捨てる行為を、「手裏剣を飛ばす」と言う』
ひとつ利口になったでござるよ、ニンニン。
後手はこの手裏剣を金でとった。
この54手目で、後手の森内名人が時間を使い切る。
これに対して、先手・天彦六段は2六銀と銀が前に出た。
おそらく、この手のことを評したものと思うが、勝又六段は「なるほど鋭い! こういう鋭い手がすぐに見えたいものですね〜」と絶賛していた。
将棋猫には、どっちがどう優勢なのか、解説をされてもよくわからなかったけれど、どうやらこれ以降ずっと先手の勝ちペースで進行したらしい。
合間合間に語られる勝又六段の言葉から、先手必勝であるらしいことが容易に推察された。
61手目2七飛「いやいや、指がしなってきましたよ! このあんちゃん」
63手目同桂「これは勝ちましたよという手ですね」
67手目4四桂あたり「指し手が早いぞ。しかし名人の地元でこの将棋ができるとは、アウェイに強いね、天彦くん」
73手目3二成桂「いやぁ、まいったね」
77手目2二飛打では矢内女流四段も「はぁ〜」と感嘆の吐息をもらす。
そして勝又六段にいたっては「なんか憎いなコイツ。名人に時間残して勝つとか…。強いとは思ってたけど、ここまで強いとは…」と絶句気味。
最後は83手目7五桂を見て、後手の森内名人が投了した。
この一局は勝又・矢内の両棋士が目を見張るほど、天彦六段の鋭い指し手が光った、素晴しい内容の将棋であったらしい。
とりあえず将棋猫にも、天彦六段が危なげなく勝ったのだろうということはわかった。
きっと天彦六段の“会心譜”というやつなんだろう。