CONTENTS

P.1
◆行くしかない!
◆将棋会館をチラ見
◆名人になれますように

P.2
◆ガンダムの口より入る
◆宣伝:将棋ファンに告ぐ!
 コーヒーは…

◆ついったらーず

P.3
◆名人と王子
◆勝負手とつぶやき爺
◆岩根二段、無情の秒読み
◆乱戦を制したのは

P.4
◆名人と握手!
◆一生の不覚
◆一生の不覚 once again



北海道 十勝発 帯広名物の豚丼


比内地鶏親子炊き込み御飯セット


うなぎ割烹「一槇」鰻のひつまぶし


「新宮市」総本家めはりや めはり漬け


黒毛和牛の牛すじカレー

◆名人と握手!
壇上では表彰式が行われ、その後JT杯を抱えた羽生名人の撮影タイムがあった。これがスゴかった。ステージの前にカメラマンが群がったのは言うまでもないが、老いも若きも、男も女も、名人の姿をファインダーにおさめようと必死なのだ。世代も性別も超えた羽生名人の人気の高さを思い知った。


表彰・記念撮影が終わり、お楽しみのクイズの抽選会の時間となりました。
………………………………………………。
まったく楽しいことが起こらなかったので、省略させていただきます。(`へ´) フン。

「ああ、おもしろかった。そろそろ帰ろうかのぅ」
ぐぐ〜っと伸びをした将棋猫の視野の先になにやら長蛇の列が…。
この列はなに?

並んでいる人たちの会話に聞き耳をたてて、行列の正体を探る。とぎれとぎれの会話から察するに、どうやら羽生名人が出口のところでお見送りをしていて、そこで名人と握手できるらしい。
なんですとー! そんなおいしいイベントを逃しては一大事! 並びましょ、並びましょ。
で、列の最後尾はどこよ?
まだ?……まだまだ……まだまだ先……まだ?……もうちょっと……ここか?
Σ(゚Д゚;)な、なんと!
最後尾についてやっと気がついたんスけど、行列は東京体育館を1周半していたんス。ちょうど「の」の字を書くようにして一回りと半周。人数にしてざっと1000人以上……、いやいや、もっと並んでいたかもしれん。凄まじいよ、名人人気。
しかし、この一人一人と握手してお見送りするのか。大変だな〜。
たしか明日は竜王戦第4局の前夜祭が予定されていたはず。つまり明日の夕方までには兵庫県の加古川に着いてなきゃいけないってことだよな? こんなとこで無駄に体力つかってる場合じゃないのでは?
そう思うなら並んでないで帰ればいいんだけどさ。しかしねぇ、名人と握手できる機会なんて滅多にないからねぇ。その機会をみすみす逃すなんて、将棋ファンとしてできっこないよね? ね? ね?(しつこい)
うん、できっこない! 絶対に握手してもらうんだ〜い。

一生の不覚
ドックドックドックドック………。
順番が近づくにつれ、動悸が激しくなってきた。今にも心の臓が止まりそうだ。
「絶対に握手してもらうんだ〜い」と息巻いてたくせに、いざとなると本当に意気地がない。ノミの心臓だよ。

あ、羽生名人だ。見えた。
あ、次だ。
あ、前の人は写真撮ってる。うらやま。
あ、順番きた。
あ、握手。
………………………………………………。

(゚Д゚≡゚д゚)エッ!? ここどこ? いま何してたっけ?
あれほど楽しみにしていた名人との握手だったが、緊張しすぎて脳の記憶チップがふっとび、ほぼ覚えていない。じっくりと間近にご尊顔を拝見しようと思っていたのに、握手することに没頭して手しか見てなかった。なんてこったい!
一緒に行った友人によれば、将棋猫はさながら壊れかけのロボットみたいだったらしい。右手右足同時に出してキコキコ歩き、握手の時に名人が「ありがとうございます」と挨拶してくれているのに無反応で、「なんだコイツ?」と不審に思うほどだったそうな。ちなみに友人は「竜王戦がんばってください」とか話しかけたらしい…。
ちっくしょー! 一生の不覚だー!

一生の不覚 once again
記憶にないとはいえ、名人と握手したことは事実だ。今回はそれで満足するとしよう。しかし、次こそは必ずや名人の顔をちゃんと見てやるぞ! 千駄ヶ谷の空に誓う将棋猫であった。

これでJT杯レポートは終わり……じゃないんだ、コレが! この後にもうひと山ありましてね。

その出来事は地下にもぐるエスカレーターで起きた。
下りエスカレーターには将棋猫と友人、その4mほど先に、大きめのショルダーバックを下げたスーツ姿の青年がひとりいるきりであった。友人と今日一日のことを話しながら、見るともなく前方の青年に視線を向けた。
青年のほっぺのあたりがやけに膨らんでいる。
あれま、あんなにほっぺた膨らまして。まるで山崎七段みたいだね。そんなことを思いながら、なおも友人との会話を続けた。

( ̄_J ̄)ん? ちょっと待てよ、あのほっぺたに見覚えがあるような、ないような…。
すると隣の友人が「なあ、ちょっと…」と声をひそめ、あごをしゃくって前を見るように促す。
友人も気づいたらしい。じゃあそこのほっぺたはやはり……?
そうなのだ! なんと山崎七段に遭遇してしまったのだった!
なんという僥倖! これはよゐこの将棋猫に、神さまがスペシャルプレゼントをくだされたに違いない!
せっかくの神様の志を無駄にしてはならぬ。写真を撮らせてもらったり、握手してもらったり、その他いろいろしてもらおうではないか。

しかしよく似た赤の他人かもしれないので、とりあえずターゲットの前方に回り込み、本人確認を試みることにした。
「you 右から 回り込み watch」ハンドサインで友人に指示を出す。
不自然にならぬように気を使いながらターゲットの顔を確認する友人。
「みた but i don't understand」
わからんだと? 友人はいまいち確信が持てないらしい。仕方ないので、将棋猫自ら確認しに行く。
ちょうど切符売り場で立ち止まって路線図を見ていたので、すかさず顔を確認。
「(?_?)……don't understand, me too……orz」

よく見知ったつもりでいても、所詮テレビでしか見たことないわけで。自分が描いているイメージと本物とは隔たりがあったりするもんです。「こんなに身長高いんだっけ?」とか、「もう少し目が大きかったような…」とか、「なんか鼻の形ちがくね?」とかさ。どんどん確信がなくなってくるわけですよ。
しかし一方で、「将棋猫の第一感は間違っていない!」という気持ちもあるわけで…。
要するに問題は決め手がないことなんです。ならば確認する方法はただひとつ。「山崎七段ですか?」と話しかけて声を聞くよりない。そうすれば本人かソックリさんかハッキリするわけだ。

が、この日の将棋猫はとことん意気地なしのヘタレ野郎だったです。
「よ〜し、声かけるぞ、かけるぞ…」と何度も呪文を唱えたのですが、足が一歩も動かず、言葉を発することもできず。そうこうしている間に、山崎七段とおぼしき人物は改札の向こうに消えてしまいましたとさ。
切符売り場に取り残された将棋猫は、「かりにあれが山崎七段だったとして、対局に負けたばかりの人に声なんかかけられないよ!」とかなんとか自分自身に言い訳をするのが精一杯であった。哀れ…。

そして2日後。
竜王戦ブログにて山崎七段の写真を目にした将棋猫は確信した。あの日、地下鉄に乗っていった青年は確かに山崎七段だったと。
いまさら遅いよ! なんで声かけられなかったかな? ちっくしょー! 一生の不覚だー!


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